誰でも知ってるフロントパノラマビューな小田急ロマンスカー。その知られざる魅力に迫るこの1本。
1957年のデビューからすでに半世紀以上の時を経る「小田急ロマンスカー」。箱根方面への行楽の足として親しまれてきた”ロマンスカー”という名前に特別な響きを感じる方も少なくない。ここでは動画を混じえてロマンスカーの魅力に迫る!動画はVSE 50000形のもの。
もともと「ロマンスカー」という愛称は、もともと横2列の2人がけのシート(通称ロマンスシート)を有する列車に使われたものである。昭和の時代には数多の私鉄でもこれが使われてきたが、各社独自の愛称をもつ現在、”ロマンスカー”は小田急電鉄の登録商標となっている。20世紀中期以降、旅行が大衆化しつつあったとはいえ、庶民にとっての旅行とは、それほど浪漫に満ち溢れたものであって、それを象徴するキーワードが「ロマンスカー」であり、すなわち憧れの存在であった。歴史を紐解くと、1960年頃の新婚旅行ブームでは、関東では伊豆箱根、関西では南紀白浜などが人気の旅行先であった。当時のロマンスカーには新婚さんが大勢席を占めていて、さぞかし華やいでいたことだろう。ちなみに、日本ではじめてハネムーンに行ったのは、坂本龍馬とその妻おりょうの鹿児島行きとされている。
休題閑話、小田急ロマンスカーが世界にその名を馳せたのは、何と言っても新幹線のルーツともなった3000形(その名もSuper Express)であろう。当時の国鉄と共同開発された世界的に見ても最先端の技術を纏っていた。開業前、東海道新幹線の軌道試験に用いられたことでも有名である。
その後、展望車3100形(New Super Express)車両が登場、以降、パノラミックビューはロマンスカーのトレードマークとして今日まで受け継がれている。
なお、「小田急ロマンスカー」という呼称は実は正解ではない。小田急電鉄のウェブサイトでは「特急ロマンスカー」との記載がある。
ロマンスカーは現在4種が運行されているが、最新鋭の2車種をご紹介する。
「Vault Super Express(VSE)」と呼称される現在のロマンスカーのフラッグシップ、50000形。2005年より運行。
高いドーム型天井の採用により、従来よりも45cm高い室内高は2.55mとなり、一般住宅と変わりない広々とした開放感を実現。
展望席は2+2席×4列。一方、一般席のサイドガラスは4mスパンのものを採用することで高視野を確保、車窓を楽しむに不足はない。対面4席をパーティションガラスでブロックされたサルーン席はプライベート感覚満点。4名で利用する限り、展望席とともに追加の料金が不要ということもあり、人気のスペース。1編成に3ブロックしかないので、ご予約はお早めに。
フロントの大型ガラスは視界を遮るもののないピラーレス構造で迫力のパノラミックビューを満喫できる。
車両の総合デザインは、建築家、岡部憲明氏。
VSE 50000形の外観
VSE 50000形の展望席からの眺め
VSE 50000形の客室
日本発の座席指定特急列車の地下鉄直通運転を実現した60000形。平日は本厚木などの小田急沿線から大手町をつなぐビジネス特急として、休日には東京メトロ千代田線北千住から箱根湯本を結ぶ観光特急として運用される、そのマルチタレントぶりから「Multi Super Express(MSE)」と命名され、2008年から就役している。
室内はドーム型の天井に間接照明をあしらった心地よさを追求した空間となっており、ワインレッドのカーペットや木目調のテーブルがどこか懐かしい高級感を醸し出している。
東京メトロへの乗入れ実現のため、事故などの際に乗客が安全に脱出できるための「前面貫通路」と呼ばれる扉を車両の前後に装備するために、ロマンスカーのシンボルである展望席は実現できなかった。
ブルーのボディにオレンジのラインが特徴のMSE 60000形の外観。フロント向かって左型に「前面貫通路」の外枠が確認できる。
ロマンスカーに乗るなら、やはり展望席をおすすめしたい。何と言っても、一般席と料金に差はないのだから。ただし、それだけ争奪戦は熾烈な争いが待っている。そんな中でも比較的取りやすい条件を以下に示しておく。
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